愛するものを見つける方法

心を温めてくれる言葉

本当に愛するものを見つける方法

 人間が本当に愛するものを見つけるのはとても大変なことで、それがすべて、要するに人生の中心だと思うね。

 一生かかっても、ついにそれが見つからない人も多いと思うんだよ。

 だけど、ドアが閉まっていても、いつかは絶対に自分の好きなものが見つけられると、そういうふうに導かれているんだと信じることだね。

 だいたいは、どこもかしこも閉まっていると、絶望的になっちゃうんだよ。
 だけど、あっちこっち叩いているうちに、どこかのドアがポンと開くと思うんだね。
 その開いたドアが、自分の一番求めている、愛するものへの道だと、とりあえず信じるんだよ。
 そこへ入る、またドアが全部閉まっている。
 必死になって叩くと、またドアが一つだけ開く。

 そういうところをひとつずつ通過しているうちに、いつか、ものすごい光が自分の中に出てくるはずなんだよ。

     イリュージョン リチャード・バック/村上龍・訳 集英社文庫 解説より

自分の歌をうたい続けること

 人間が学校というフェンスを出ると、そこは、ドラゴンワールド(現実の、悪意に満ちた世界)なわけだ。

 地球上には30億だか40億だかの人間がいて、お前はその30億プラス1の余りものに過ぎない、お前のことなんか誰も関心を持っていやしない、生きていようと死のうと、こっちの知ったことか、みたいな扱いを受けることになる。

 ある人間がダメになるというのは、そういうことなんだよ。

 どうやってそれに対抗するかと言ったら、やっぱり自分の歌をうたい続けることだと思うね。
「うるせえ、おまえのその変な歌をやめねえと張り倒すぞ」かなんか言われて、それでだめになっちゃうことだってあるけど、張り倒されても、まだ歌い続けることだ。

 もちろん、ドラゴンワールドにあっては、明日の飯代をどうしよう、今日の部屋代をどうしようなんていうわずらいもある。それはしようがないから、思いわずらい、駆けずり回りながらでも、自分の歌だけはうたい続けるわけだ。

     イリュージョン リチャード・バック/村上龍・訳 集英社文庫 解説より

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