結論
始めに結論です。私の50歳でのFIREを可能にしたのは、①困難をともにした経験と価値観の共有、②長期的な資産形成への協力体制、③リタイヤ後の共通の目標設定、④家族の現状理解 でした。
困難をともにした経験と価値観の共有
私たち夫婦にとって、それぞれうつ病とがんという大きな病を経験したことが、生き方を見直す強いきっかけとなりました。特に妻の経験した婦人科系のがんは強烈な経験で、いつまでも健康でいられる保証はない、命には限りがあるということを強く認識させ、「元気なうちに充実した人生を送りたい」という夫婦で共通の認識が生まれました。
また、病を機に、家族で支え合いながら食事や運動習慣、仕事に対する考え方を大きく変えたことが早期退職という選択を後押ししてくれました。
余談ですが、妻が入院・加療している間に、私の食事作りのスキルが磨かれ、妻より先にFIREし専業主夫となった今、その経験は大いに役立っています。
長期的な資産形成への協力体制
FI(経済的自立)の達成やRE(早期退職)は突発的な思いつきではなく、10年前から夫婦で資産形成の準備を進めてきた結果です。
・お小遣い制と生活費・家計の見える化:我が家は結婚当初から共働きでしたが、夫婦共お小遣い制にしており、また投資を始めた頃からずっと、マネーフォワードMEという家計管理アプリを使って、夫婦の持つ口座を連携し、世帯としていくらの資産があるかをリアルタイムで把握していました。
・夫婦での投資学習: 10年前、住宅ローンの完済が見えてきた時期に、妻が山崎元氏の投資本を買ってきたり、私がFIREに関する本を読み込んだり、Youtubeも見ることのできるリビングのテレビでリベ大の両学長の有益な動画を見て勉強したりと、夫婦で資産形成に関する知識を共有していました。
・経済的な安心感: 10年間の勉強と投資の結果、住宅ローンを完済し、純資産約9,000万円、年間配当収入約200万円(税引後)を築いたことが、家族の納得感とFIREしてもやっていけるという自信を得る大きな根拠になりました。
共働きの世帯ではそれぞれが自身の稼ぎを管理し、家賃や光熱水費・食費などの必要経費を互いに拠出して、妻(夫)がいくら資産を持っているか把握していない、という家庭も多いと思いますが、将来的な資産形成やFIREを目指すという観点からは、生活費・家計の見える化(家計全体の収入と支出を把握できるようにし、夫婦で一元管理すること)は大変重要です。
これが見えないと、一体いくらの資産を貯めれば良いか、毎月いくらまで支出して良いかという具体的な資産形成のゴールが見えず、FIREに踏み切ることが困難になるからです。マネーフォワードMEなどの家計管理アプリを用いて、(それぞれのお小遣い口座を除き)どの口座にいくらの収入・資産があるか、月々どのようなことにいくら支出しているかを把握することを、強くお勧めします。(マネーフォワードMEは連携する口座数は限られますが、無料で利用することができます。)
リタイヤ後の共通の目標設定
私たちのFIRE後の目標の一つは、働いている間は時間的なゆとりがなく行けなかった大きな旅行に行くことです。特に、健康で元気と意欲のあるうちに、船か飛行機による世界一周旅行に出たいと考えています。
そのために二人で、資産形成のほかに、英語の勉強や体力作りに励んでいます。
日本人男性の平均的な健康寿命は、概ね72歳と言われていて、定年退職を迎える65歳まで働いて、より多くの資産を築いてリッチな旅行に出るという考え方もありますが、前述の通り二人ともに大きな病を経験した私たちは、いつまでも健康でいられる保証はないと強く認識しました。また、40歳を超えてからは意欲の低下や、新しいことに取り組むチャレンジ精神の減退が顕著に感じられるようになり、60歳を超えたら海外旅行に行きたいとも思えなくなっているだろうと考えました。
この辺りの考え方は、オリバー・バークマンさんの書いた「限りある時間の使い方 人生は『4000週間』あなたはどう使うか?」やビル・パーキンスさんの「DIE WITH ZERO」に大いに影響を受けました。FIREを考えている方にはとても参考になる本ですので、ぜひ手に取って読んでみていただければと思います。
家族の現状理解について
・共働き: 私が先にFIREすることを受け入れてくれた妻には、大いに感謝しています。
妻は、私のリタイア時点でも仕事を続けており、少なくともあと一年は働く予定です。これは主に資産の状況について割と楽観的な私と、慎重な妻の違いによるものですが、一方で妻にとっては、がんを克服してフルタイムで働けていることに喜びを感じていること、また、私とは異なり今の仕事を辞めたとして、今よりも充実感を感じられることを明確に見出せていない、ということも理由の一つのようでしたが、このように言語化して納得できるようになるには、数年の時間を要しました。
もちろん、私が50歳でFIREしたいと考えていることを相談した数年前には、今ほど資産が成長していなかったこともあり、妻も「本当に足りるのかな」「私だって辞めたい、パパだけ先に辞めるのはずるい」と強い不安を口にしました。これまでずっと共働きで家事と子育てを私よりも多くこなしてくれ、目の前のやるべきことに精一杯の生活を続けてきたのですから、当然のリアクションでした。
そこから私は、妻が先に辞めても良いし、夫婦で同時に退職しても金銭的には大丈夫と考えていることを説明したうえで、数年の時間をかけ、Youtube動画や本も参照しながら妻に説明しました。資産運用やライフプランについての知識は、私が少し先行しており、知識量や理解の深さにも差があると考えたからです。
住宅ローンは完済しており、私の退職金を考慮に入れて9,000万円の純資産と、税引後で年間約200万円の配当収入があれば、4%ルールを守り贅沢をしなければ生活が破綻することはほぼなく、このままではむしろ貯めすぎてしまう可能性、つまり健康を害したり、晩年を迎え旅行に行く気力も体力も無くなった時に「元気なうちにもっとやりたいことにお金を使っておくべきだった」と通帳を眺めながら後悔する可能性の方が高いことを説明し、徐々に妻も理解してくれるようになっていきました。
・子の教育について:子どもが高校2年生になるタイミングであり、妻にとっては教育資金や、夫が無職になることによる子どもへの影響が一番の心配の種でした。
教育資金については、子が生まれた時から加入していた学資保険の内容を二人で再確認し、互いの退職金を合わせれば金銭的には問題ないという認識を、時間をかけて共有することができました。
また子どもへの影響について、私としては、このまま惰性で死んだ魚のような目をして定年まで働くつまらない背中を見せるよりも、思い切ってFIREに挑戦し、自分の興味や関心にフォーカスして、能動的に人生を楽しんでいる背中を見せたい、人生は単なる苦役ではないということを伝えたい、と強く思っていました。毎日家でダラダラと過ごすことはしない、少なくとも専業主夫として家事を行い家庭を支えること、これにより仕事を続ける妻の負担感も軽くできることを時間をかけて説明・約束して、この点も少しずつ理解してもらうことができました。
なお、妻と私は同じ職場で出会ったのですが、当時の職場の仲間が開いてくれた私の送別会では、「夫が先に辞めることを認めた素晴らしい妻」として、妻は大いに称賛されることとなりました。
また、子どもは拍子抜けするほどあっさり父親がFIREすることを受け入れてくれたのですが、これまでずっと共働きで両親が家にいないことが当たり前だったため、父親がずっと家にいることで、これまでよりも寛げない・羽を伸ばすことができない状況になってしまったようで、これは想定外の出来事でした。父である私からしても、ずっと子どもと二人で家にいると「ダラダラしていないで勉強しなさい」「部屋を片付けなさい」などと余計なことばかり言ってしまい気が滅入るので、春休みや夏休みなどの長期で学校が休みになる期間は、平日は毎日、午前か午後のどちらかは図書館へ出掛けてブログを書くようにして、適切な距離感を保つよう心がけています。
まとめ
以上のように、総じて単なる説得ではなく、「過去の苦難の共有」「10年にわたる資産形成の協力・準備」「共通の夢」といった積み重ねが、家族の納得感(合意)を生む土台となったと考えています。
幸せなFIREには、家族との対話と理解を得ることが必要不可欠だと思いますので、私の経験が、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

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